ローコスト住宅宣言
同じ内容で価格差などあるはずがない
もうひとつこの不況下、最近は住宅の値段の違いにその工賃の差による違いがあるようにも見えます。工賃とは人件費のこと。住宅の部品にはそもそも金額がそれと解る定価の付いた商品など極端に少ない。言ってみれば定価のある材料費は5分の一、いや10分の一以下かもしれません。極端に言えばあとは全て人件費なのですからこれをどこまで下げて工事するかという問題があります。
しかしこの部分は資本主義社会の基本的な問題。人件費はどこまで下げられるのか、果たして基準以下の報酬で人は適正な仕事がどこまで出来るのか、安い賃金にはそれなりの技術しか持たない職人や下職しかつくはずがないことなど、想像すればおのずと答えは出てきそうな疑問点です。こうしたこと全てを考慮したうえでローコストな住まいを考える。これははっきり言って至難の業です。でも我々設計者にとっては最も価値ある腕の見せ所でもあるのです。
等身大の家づくりを
《健康的で住みやすく、安い費用で実現する「楽しい住まい」づくり》をめざす方々への建築家からのメッセージとして、私たちはあえてここにローコスト住宅宣言を掲げます。
間取りや空間づくりなどローコスト化に向けた建築計画の技法、建築材料の選び方、施工の方法、工法の選び方、施工業者の選定、工程の監理など、住まいづくりの全てにトータルに関与して考える家づくりが今求められています。言い換えれば地域環境に馴染んだ、健康的で親しみやすい家づくり。夢のある豊かな空間づくり。そしてさらには経済性を最大限考慮した等身大の家づくり、が今求められています。「ローコスト住宅宣言」は今こうした家づくりを目指す方々のためのテーマであり目標でもあるのです。
〈適切な建設価格〉であることを知るためには建築の仕様をきちんと理解出来ることが必要。ハウスメーカー等の展示場を見て回るだけでなく、既製品部材とオリジナル部材の価格差や性能の違い、工事内容に建築主としてどこまで関わることが出来る仕様となっているかなど、単に“商品を買う”という、一方的な契約になっていないかの判断こそが最も大切。家づくりは〈一生に一度の大事業〉であることを肝に銘じて !