EMERAUDE ARCHITECTURAL LABORATORY CO,LTD. 
 

部材の原寸検査

鉄骨継ぎ手の溶接強度/品質検査

鉄骨工事/軸組検査  構造体の詳細検査を実施。

鉄骨構造では溶接の精度が最も大切です。木造のように現場でサイズ調整や強度補強をすることができないので鉄骨を組み立て加工する工場に出向いて柱や梁材部品の製品精度検査を行います。


建て方工事
鉄骨造の建築では上記のような製品検査を予め工場で行います。その後現場に部材(部品)を搬入し、組み立て作業に入ります。これを建て方工事といいます。現場では取付用のボルトは「仮締め」の段階で各部の形状や組み立て方に間違いがないか、足りない部品や精度に問題はないかなどを確認検査した後に「本締め」工事を行います。この建物のように複雑な形状をした建築では施工者はもちろん、設計者である私たちも本当に真剣です。建物ぎりぎりまで迫る植栽との関係も「施工者泣かせ」の一因でしたが、ご覧のように見事に組み立てられました。

建築と環境との融合

第2期工事/鉄骨建て方



建築の遊具化と都市型園舎
幼稚園や保育園の建築は平屋建てが理想です。しかし都市部では狭い敷地に必要なスペースを盛り込まざるを得ず、どうしても2階建てとなってしまうことが多いために上下に分断された生活域を有効な一体空間として生かした建築の例は極めて少ないといえます。子供たちはおろか教師たちにとっても魅力的な2階空間を確保できていないのです。園舎建築は子供たちの創造性を育む空間でなくてはなりません。2階に駆け上がりたくなる「設え」を用意し、子供たちの生活が無理なく営まれるような生活の場としての仕掛けが必要なのです。

二子山幼稚園ではこのような都市型の環境に相応しい、縦軸の空間性能を重視した園舎建築としました。階段と一体となった滑り台「ぐるぐる」、小鳥の視点で樹木と接することのできる屋上テラス「そらの庭」、遊具化された「下足入れ」が創り出す「迷路空間」、カラーコーディネートされた水飲み場や足洗い場、トイレやファニチャーの数々、小動物たちと気軽に触れ合える「動物小屋」、…などが、見上げたり見下ろしたりの上下空間を繋ぎ合わせて子供たちを「遊び」へと誘います。文字通りのジャングルジムや砂場などの遊具と相まって、生活域そのものが子供たちにとっての〈遊び発見の場〉となる可能性を秘めています。都市環境の中とはいえ、幼い日の記憶に残る、自然と一体化した園舎建築を目指しています。

屋外テラス/1階

内と外とを繋ぎ合わせる

幼稚園の個性ともなっている既存樹木たちを生かすことが内と外との関係を心地よくするための手法となっています。雨の日も風の日も変わることなく子供たちが元気いっぱいに走り回れる空間を用意することで内でも外でもない空間となり、自然と建築とが互いを活かし合う「間合い空間」としての〈屋外テラス〉を構成しています。


〈迷路空間〉                                  テラスにランダムに配置された遊具のような「下足入れ」は適度に子供たちの行く手を遮り、遊び場としての〈迷路空間〉を創り出しています。

「和」の心/「間(ま)」空間の創出                                                                                              私たち日本人が慣れ親しんできた「和」の建築空間は「間合い」を尊んだ設えで構成されています。内でも外でもない空間としての「縁側」や、空間を光の入れ方で優しく仕切る「紙障子」や「格子戸」などがそれです。二子山幼稚園の外観は建ち並んだ国籍不明の現代住宅たちに囲まれていますが、都市のオアシスのように大きく育った樹木たちの緑を生かすべく西欧の民家集落を連想させる意匠を纏ってはいます。そこに誰もが受け入れ易い「和」の理念を取り入れることで、心地よい生活の場を演出しています。


空中テラス「そらの庭」/2階

「そらの庭」                                                     2階があることの魅力は〈地上よりも高いところにいる〉と実感できる楽しさです。2階は単に廊下と階段と保育室だけで構成されるのではなく、屋根が上手に利用され、集う子供たちにとっては、まるで自分が小鳥になったように、大きく伸びた樹木たちの枝先や葉先に手を伸ばせる心地よさがほしい。〈下界〉を見下ろす楽しさ、そしてそれを一気に滑り降りるという、子供たちの〈冒険心〉をくすぐるような空間であってほしい。〈そらの庭〉は2階建てであることの魅力をそうした空間特性として活かしているのです。


園庭「そらの庭」/2階

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