EMERAUDE ARCHITECTURAL LABORATORY CO,LTD. 
 

工事中の外観/遠景

外観/完成予想図


概要
●中庭(パティオ)を「活動(アクティビィティ)」の場に
狭小な敷地に必要数の保育室を収める手法として「中庭(パティオ)」が採用されていますが、単なる「地べた」ではなく、子供たちにとって魅力ある空間とすべく、〈居心地の良さ〉や〈楽しさ〉に出会える可能性を生み出す場として機能しています。

●管理エリアの位置づけ
連続する保育室や管理室など、園を構成する諸室を「中庭」を介してサークル状に配することで保育室間の全ての機能を芝庭に集約しています。子供たちは保育室から飛び出した先が芝生庭となり、さんさんと降り注ぐ太陽の光を受けながらも、この地域に吹き付ける冷たい北風「赤城颪(おろし)」を避けた快適なコミュニティスペースを確保しています。
第2期工事で連続する遊戯室棟が接続されると、管理室(=職員室)は子供たちの全てが視認できる位置となり、広い園庭と保育室棟の芝生庭とを合わせて管理できる形態となります。

●「芝庭」
パティオとして位置付けられた中庭は毛足の長い人工芝が張られ、子供たちはここで駆け回り、また寝転び…、屋外空間として外部環境を遮断する中で形成された安全で安心なオールシーズン型の「芝生広場」が形成されています。
夏場には至近の格納庫から運び出された組み立て式の大型プールが設置され、芝庭と共に子供たちにとって最も楽しい屋外空間に変身します。

●「テラス」
「芝庭」を囲む通路(「テラス」)は子供たちが素足で歩けるようにゴムチップ材で平滑に舗装されています。屋根つきの完全なサークル状なので子供たちが走ったり連なって遊んだりする場合にも無限にループした空間として、雨の日もアクティブに利用することが出来ます。給食もワゴン車で難なく各保育室間を移動させることが出来るため、効率よく短時間で処理することが出来るように配慮されています。


保育室/工事中


保育室/工事中

中庭/工事中

●使いながら造る/「個性(アイデンティティ)」を生み出す

第1期工事で職員室や給食調理室等を含む保育室棟を建設し、移転したところで第2期工事としての遊戯室棟を建設して連結するといった手法で事業を実施しています。この方法ですと遊戯室エリアとその他の諸室エリアとが分離しても支障のないプランが成立している必要があります。第1期工事に利用できるエリアの狭小さ故に前述の中庭空間が導き出され、園の大きな個性として成立しているように、現状から理想形へと希求し構想する中でこそ、新しい個性を生み出すことは可能なのです。


●「風景」と「風土」と

建設地は合併後の「新市内」ではあるけれども、林と畑とがなだらかに連なる山村集落の一角に位置しています。大きな旧家や寺の屋根が付近の住宅の屋根よりは少しだけ突出してはいますが、深い緑の中に白い屋根がまばらに点在している…といった静かで落ち着いた景観が形成されています。新たんぽぽ保育園の形態はこうした中に溶け込むように形を与え、色を与えていますが、既存風景の中にあるの色や形を丹念に拾い集め、組み合わせることで形づくられています。地域に根付き、それでいて子供たちにも親しまれるデザインはこうした因果の中から生まれています。

■第1期工事/2015年3月末完成予定 (3月期に暫定利用開始予定)
■第2期工事/ 2015年3月末着工予定 (3月より解体工事開始予定)


遊戯室棟側を見る外観/完成予想図

アプローチサイン

保育室/工事中

芝生の中庭

完成予想図/俯瞰

洗体槽・洗い場

中庭全景/工事中